山田奨学会とは

山田奨学会の創設者山田きくゑ(え)さんは若い学生に会えば「勉強して偉(えろ)うなりさいや」と言葉を掛けて居られたと言われます。

明治30年に姫路市で生まれ、幼い日に御両親と共に下関市に移られた山田きくゑさんは13歳から下関市の春帆楼に奉公しました。
目から鼻に抜ける俊敏さと気配りの良さで御客様からは絶大な信用を得ました。
大正13年26歳の時に独立して下関阿弥陀寺町に店を構えました。
昭和2年30歳の時には上京して銀座にふく料理専門の山田屋開業に到りました。

春帆楼以来の知遇、山口県出身の政財界の有力者の後援もあり、東京最古参のふく料理屋として山田屋は大変繁盛したと伝えられています。
ところが昭和37年瀬戸内海徳山沖の天然ふくの水揚げが減少し、海外物に頼る事を潔しとせず休業を決意されました。また、同時に全財産を山口県出身学生の育英に投ずる決意を固められました。

同年9月関門報知新聞義永社長宛山田きくゑさんの挨拶状から引用「・・・全財産を投じて山田育英会を創立し、お国の久原房之助様を始め、松林桂月、岩田寅造、岸信介、佐藤栄作等の偉い諸先生方にお世話を戴く云々、、、」岩田寅造氏は当時、防長教育会会長であり、昭和39年12月に同教育会役員会で山田奨学会設立を提案され、役員は同教育会役員の併任とする事を決議しておられます。

翌昭和40年5月18日東京都の承認を得て財団法人として山田奨学会は正式に発足しましたが、実質的には防長教育会と一体でした。理事長は藤本萬治氏、常任理事は岩重隆治氏が兼務され、また、山田きくゑさんも防長教育会と山田奨学会の両方の理事に就任されました。

昭和45年3月26日、山田奨学会は名実共に独立して事業を施行する事になり、事務所も武蔵野市吉祥寺から同年8月19日中央区宝町に、そして昭和61年3月20日現在の港区高輪に移転し、その後理事長に林義郎氏が就任、独自の態勢を確立する事になりました。

平成7年10月15日、当時の奨学生全員で、富士箱根方面バス旅行の帰途、熱海のライフケア来の宮10号館に入居中の山田きくえさんをお訪ねした時にも、「勉強して偉(えろ)うなりさいや」とおっしゃっておられました。
そして直後の10月30日、享年98歳で急逝され、この言葉が遺言のようになってしまいました。奨学生のみなさん、創設者山田きくえさんの心のうちから出たこの言葉を肝に銘じて勉学に励んで下さい。

時代は流れて、公益法人の制度見直しを契機に、平成21年10月に、財団法人防長倶楽部(理事長 松野浩二氏)に併合、山田奨学会事業部(事業部長小林哲雄常務理事)として、創設者の遺志を継承しながら新たな展開をはかることになりました。

(林文二氏の手記から一部引用)

募集要領

出願者資格
出願時当人および保護者が山口県内に居住する者で、かつ当人が東京都に本部がある大学に修学する学生であること。
願書
奨学生願書、履歴書・身上書、出身高等学校の推薦書及び調査書(各学校の様式)
問合せ先
〒108-0074 東京都港区高輪3-25-23
(公財)防長倶楽部
Tel.03-3445-9111
Fax.03-3445-9122
募集
※面接
採否決定は東京にて行います。

行事の様子

山田奨学会奨学規定

第1条
財団法人防長倶楽部寄附行為第49条の規定に基づき、この規定を定める。

第2条
本会の奨学生となるものは、山口県出身の日本国民であって、大学に在学し、学業、人物ともに優秀かつ健康であって、学資の支弁が困難と認められる者でなければならない。

第3条
奨学金の貸与を希望するものは、次の書類を取り揃えて、連帯保証人と連署のうえ本会に願い出るものとする。

(1)奨学生願書
(2)出身高等学校の推薦書、又は在学する大学の推薦書及び在学証明書等
(3)履歴書、身上書

第4条
奨学生の選考は、選考委員会の選考を経たるうえ理事長が決定する。

第5条
奨学金は月額4万円、無利息とする。

奨学金の交付期間は正規の最短期間とする。
ただし、止むを得ない事情で、奨学生が交付期間の延長を希望する場合、奨学生は理由と期間を明記した延期願いを、連帯保証人と連署の上で、提出しなければならない。交付期間の延長は、理事会の承認を経て、理事長が決定する。

第6条
奨学金は原則として毎月支給し、本人に手渡す。

第7条
奨学生は次の各号に該当する場合は直ちに本会へ届出をしなければならない。

(1)転学、休学、復学、退学をしたとき
(2)停学、その他の処分を受けたとき
(3)奨学生及び保証人の住所、その他重要事項に変更を生じたとき

第8条
奨学生が休学、又は長期に亘って欠席したときは、その期間奨学金の交付を停止する。

第9条
奨学生が次の各号の一に該当するものと認められたときは、奨学生たる身分を失なう。

(1)大学を退学したとき
(2)病気、その他の理由により成業の見込がないものと認められたとき
(3)懲戒処分を受け学籍を失ったとき
(4)本会の奨学生たるにふさわしくないと理事会において認めたとき

第10条
貸与を受けた奨学金は奨学金交付が終了したとき、連帯保証人と連署による借用証書を提出のうえ、次の基準により返還するものとする。

(1)奨学金交付期間が終了した翌月から起算して、満2ケ年間据え置き、3年目の第1月より3年間は1年金6万円以上、次の3年間は12万円以上 次の4年間は18万円以上とし、卒業後13年にて貸与された全額を返還しなければならない。
(2)返済方法は借用証書に年賦、半年賦、月賦等、具体的返済計画を明記し、これに基ついて返還する。但し、奨学生の都合により繰り上げ返還することは差し支えない。
(3)奨学生であったものは奨学金返還完了前に、氏名、住所、職業、連帯保証人等、重要な事項に変更のあったときは、ただちに届け出なければならない。

第11条
第9条第3号に該当する場合は、その事実が発生したときの翌月より起算して1ケ年以内に、支給を受けた奨学金の全額を返還しなければならない。

第12条
奨学金返還の義務あるものが、その期間中に障害、疾病その他止むをえない事由により返還が困難となった場合は、残額の返還について、延期、軽減、又は免除等の措置をすることがある。返還延期等を受けるものは、連帯保証人と連署のうえ、返還延期願等を提出しなければならない。

奨学生及び奨学生であったものが死亡したときは、相続人または連帯保証人は死亡診断書を添え、ただちに死亡届を提出しなければならない。

第13条
本規程に定めのない事項については、その事例が発生したとき、理事会において適宜の措置を講ずるものとする。

附則
この奨学規定は、財団法人防長倶楽部が財団法人山田奨学会を吸収合併した登記日から施行する。

以上

平成21年7月13日改正
平成18年10月31日改正
平成3年7月5日改正
昭和63年7月22日改正
昭和63年3月3日改正
昭和40年5月7日制定