歴史と理念

防長倶楽部の前身は、日露戦争の戦勝の余韻が冷めやらぬ明治38年(1905)、東京在住の山口県出身者有志によって「異同倶楽部」が作られたことから発している。
その後、会員の要望に応えて大正3年(1914)組織を改め、干支にちなんで「甲寅会(こうしんかい)」と命名され、さらに間もなく「防長倶楽部」と改められた。

大正12年、防長倶楽部は、甲寅会から防長会館を含む財産を継承、私的な倶楽部から民法に基づく法人組織として発足した。この年をもって財団法人防長倶楽部発足となった。
当時、入会資格が厳しく、一部の人たちからは敬遠されるなどあったが、その後、会員も次第に増加し、財政基盤も強化され、ステータスシンボルとしての評価も高まってきた。

昭和18年9月、防長倶楽部は名称を「防長会」と改称した。
この状況が一変したのが、昭和20年の終戦であった。同年5月の東京大空襲で、防長会館を失い、インフレで財産は紙切れとなった。
そのような中、事務所も転々としながら活動をつづけた。何とか形が整ったのが昭和25年であり、財団法人防長倶楽部として再出発した。

そして、門戸を広く開き会員を募り、運営を民主的なものに改めるなどを経て、女性への門戸開放や若者の入会にも注力するなど、組織基盤である会員増強を進め、平成15年には80周年を盛大に祝うことができた。

一方、事業活動であるが、先賢遺徳顕彰や教育・文化事業活動の増強、機関誌とホームページの充実、更に山田奨学会を吸収合併するなど公益事業の拡充を図ると共に、夏祭りやきらら会コーラスそしてゴルフ同好会などの共益事業や福利厚生活動の質的向上を進め、併せて、資産運用への対応や事務所の高機能化を進めてきた。
これ等の集大成が新公益財団法人発足に至ったわけであるが、「郷土山口を愛し、それを通して公益に資する」理念は、創立以来不変である。

防長倶楽部 年表

大正12年7月18日
財団法人・防長倶楽部創立。「甲寅会」より財産等(社屋)継承。
大正12年7月24日
設立登記。東京府知事、文部大臣許下。理事長野村益三子爵。
大正12年9月1日
関東大震火災で社屋(防長会館・在麴町区内幸町)焼損。
大正13年5月3日
新役員選任。規約改正。
大正13年10月
創立初年度決算発表。
昭和18年9月14日
防長倶楽部を「防長会」と改称。
昭和20年5月25日
東京大空襲、防長会館全焼。
昭和21年6月1日
仮事務所を港区白金台町、同9月1日、高輪・毛利邸に移転。
昭和25年3月1日
千代田区霞が関昭和会館に移転。
昭和25年10月28日
財団法人「防長会」を「財団法人防長倶楽部」と再改称。
昭和28年10月16日
防長倶楽部創立30周年記念「山口県人大会」を読売会館で開催。
戦後初代理事長に佐々木義彦氏(日本貿易信用㈱会長)選任。
昭和33年4月9日
佐々木義彦理事長辞任。
昭和33年7月2日
佐藤基氏(元会計検査院長)理事長に選任。
昭和37年11月10日
「藤公墓地」伊藤家より本会に寄贈。
昭和46年3月31日
佐藤基理事長逝去。
昭和46年6月20日
中村隆一氏(日立金属㈱会長)を理事長に選任。
昭和48年2月7日
佐藤栄作元総理講演(第一回)。
昭和48年8月
会員総会の議を経て1口5万円、目標2,000万円募金、短期間に目標達成。
昭和49年11月
不定期発行「防長倶楽部誌」を隔月発行に決定。
昭和49年11月
初の口絵付会員名簿「50年版」発行。
昭和51年6月
複数常務理事制施行。
昭和51年6月
港区高輪に「集会室」開設。
昭和52年12月
寄附行為(規約)一部改正。
昭和56年7月
会誌「500号」発行。
昭和58年5月
藤公墓地一部品川区役所に分譲。
昭和58年7月
本会事務所を港区高輪に移転。
昭和58年11月21日
創立60周年記念会員総会開催。
昭和61年11月13日
中村隆一理事長退任。
新理事長に佐々木陽信(日本鉱業㈱会長)氏を選任。
昭和63年1月20日
本会初の賀詞交換会(於日立金属和彊館)。
平成元年10月18日
佐々木理事長逝去。
平成元年10月
役員、一般会員年会費改定。
平成2年5月10日
赤司俊雄氏(三和銀行相談役)を理事長に選任。
平成2年11月16日
防長倶楽部(創立67周年)秋季会員総会。会員総数639名。
平成4年12月24日
赤司俊雄理事長逝去。
平成5年5月20日
吉山博吉氏(日立製作所相談役)を理事長に選任。
平成5年11月19日
創立70周年記念会員総会を如水会館で開催。
会員総数660名。(参会者206名)
平成8年11月19日
松野浩二氏(日立金属会長)を理事長に選任。
平成15年10月24日
創立80周年記念会員総会を日本工業倶楽部で開催
会員総数815名。(参加者350名)
平成21年10月1日
財団法人山田奨学会吸収合併。

■新公益法人施行後

平成23年6月21日
公益財団法人移行認定
平成23年7月1日
公益財団法人設立登記
八木重二郎氏(初代東日本高速道路㈱会長)を新理事長に選任
(個人会員712名、法人会員8社)
平成25年9月30日
公益財団法人移行後、初めての会員名簿作成(3年毎に発行)
(個人会員695名、法人会員11社)
平成26年9月30日
防長倶楽部創立90年を経過して、「90周年記念誌」を発行
平成26年11月13日
定時評議員会で評議員数を1名増とする(理事14名、評議員14名、監事3名)
平成27年9月30日
(個人会員728名、法人会員12社)
平成27年12月3日
公益財団法人移行後、初めての内閣府による法定立入検査実施(全ての公益法人が対象)
平成31年4月30日
(個人会員698名、法人会員13社)
令和元年5月16日
内閣府による2回目の法定立入検査実施
令和5年11月9日
八木重二郎氏 代表理事(理事長)辞任
令和5年11月9日
沖原隆宗氏(三菱UFJ銀行特別顧問)を代表理事(理事長)に選任、就任

概要

名称
公益財団法人防長倶楽部
設立
大正12年7月18日
公益財団法人移行
平成23年6月21日認定 同年7月1日登記
目的等
郷土意識を基調とする教育活動を通じ愛国心の根源を培い文化の発展と民族意識の昂揚を図るを以って目的とし、次の事業を行う。
(1)教育文化発展を目的とする学術講演会
(2)機関誌の発行
(3)奨学金貸与
(4)教育研究活動に対する助成
(5)山口県出身先賢の遺徳顕彰事業
(6)その他法人の目的を達成するための事業